小学校受験を始めた時、右も左もわかりませんでした。となると、やはり一番わかりやすいのが「塾に通う」こと。
私たちは娘を幼稚園年中の秋頃から塾に入れました。が、そのあとすぐに「塾に行かなくてもよさそう」と感じ、年長の夏前には塾を辞めました。
いわゆるペーパー系の塾だけではなく、某有名スポーツクラブチェーンの「お受験体操」クラスにも通っていたのですが、こちらもすぐに辞めました。
結果的に、塾を辞めて家庭学習、いわゆる「ママ塾」(パパも参加しましたが!)でも全く問題なく志望校(私立・国立)に合格することができました。
これは別に私たちの教育方法が優れていたとか、子供が天才だったからというわけではありません。
純粋に、「小学校受験に塾は必要ないのでは?」と思った次第です。この記事ではその理由について記載していきたいと思います。
なぜ塾を辞めたのか?
お受験塾に対して悪い感情は持っておりません。
実際、右も左も分からない!という状態から「どうしたらいいかわかった」という意味では非常に役に立ったと思っています。
娘はペーパーなんて一切見たことがない、せいぜいくもん(こくご・さんすう)をやっていた程度です。運動に関して言えばケンケンパもできないし幅跳びは20センチ、巧緻性はノリやハサミの使い方もきったなくて雑でした。
実を言うと、塾が役立った一番のポイントはここです。
つまり、「子供に何が足りないのか」がわかったと言う点です。
ペーパーは全滅。
運動も全くダメ。
巧緻性はリボンを結べるようになるなんて夢のまた夢。
この状態がわかった、と言うのが最も大事です。
そして「この状態のままでは合格はできない。が、この状態を改善できたら合格ができる」と言う塾の先生方の経験談を聞けたことがとても大事でした。
娘が塾を辞めた理由、それはシンプルに「塾のレベルについていけないから」でした。
娘が通っていた塾は個別指導ではなく、5名〜10名程度のクラスで授業を行っています。当たり前ですが、一番下のレベル(=娘のレベル)に合わせるわけはいかず、結果としてついていけない娘はどんどん置いていかれます。
もちろん、塾も丁寧に指導はしてくださるのですが、やはりクラスの中の一人、と言うところでそこまで手厚くできるわけではありません。
運動系のレッスンも行きましたが、同じことです。あまりにもレベルが低い(みんながボールを片手ドリブルして走っているのに、一人だけ両手でボールを跳ねさせることすら怪しい)娘はどんどん置いていかれます。
このままでは永遠に追いつかないし、そもそも他者にも迷惑がかかる。
そう考えて、塾を全て辞めました。
塾を辞めてやったこと
幸い、娘に何が足りないか(ほとんど全てなのですが)を把握することができたので、塾を辞めてやることは明確でした。
それは基礎的な底上げです。底上げというか、そもそも基礎がないレベルだったので基礎を作るところから始めました。
ペーパーの底上げでやったこと
ペーパーについてはとても良い問題集があったので、それでレベルをかなり上げることができました。それについてはこちらの記事をご参照ください。
運動の底上げでやったこと
運動については正直なところペーパーよりもはるかに大変でした。
というのも、娘は完全なインドアタイプで、幼稚園でも基本的に外遊びはせず教室内で絵を描いて過ごしていたのでとにかく体力がなかったのです。
- 鉄棒からのぶら下がりは4秒。
- 幅跳びは20センチ。
- ボールのドリブルはできない。
- 片足で立ってのバランスは10秒いけばいい方。
塾の面談で「あまりにもできていなくて冗談でやっているかと思った」と言われたほどです(実話、多分一生ネタにすると思います)。
運動神経を一気にアップさせる方法はありません。やはりこれも愚直にやっていくしかありません。
ので、以下のことを実施して娘の体力・運動神経の底上げを行いました:
- 毎朝バスを使わず、幼稚園に歩いていく
- 寝る前に片足バランスを1分ずつやる
- 週末は体育館に行く
あまり一気にやり込んでも燃え尽きてしまいますし、また体への負担が多すぎます。運動塾では「普段歩いてどこか行く時もスキップさせるとかケンケンさせるとかした方がいい」と言われましたが、街中でそんなことをしていたら巨人の星かな?と思われてしまいそうなので、そこまではしていません。
実はそんなに大したことをしていないのです。
大事なのは「慣れ」です。
体育館では1時間体操をしました。1時間は子供にとっては結構長い時間です。おそらく休憩時間を抜いたら30分、よくて40分程度の運動だったと思います。
やったことは「走る」「ボールをドリブルする」「ケンケンパーをする」だけです。なるべく追いかけっこをしながらなど、子供にとって楽しくなるように動いていました。
もちろん最初はできません。すぐに「疲れた」「飽きた」「足が痛い」と言い出します。
それでいいと思います。急に体育会系になっても怪我をしてしまうので、ほどほどに行きます。
幸い、時間はありました。
年長の春ぐらいから体育館通いを始めて、週に1回の運動でも差が出ます。
5歳、6歳のやることですから、そこまでの差分が出ません。娘は単に「今まで全くやっていなかった」からできなかったわけで、やれば基本的には誰だって「ある程度」までできるようになります。これが本当に重要です。
例えば成蹊小学校、早稲田実業小学校などは運動がハードなことで有名ですが、「難しいことをやらせる」というよりかは「先生の動きの通りにできるか、指示を聞けるか」の方が大事である印象です。
「くま歩きからスタートして、コーンを左回りして、ボールを取って、ボールを右手でドリブルして、フープの中にきて、ボールを置いて、両手を横に置いてストップ」と言った一連の流れを覚えて、その通りにやるという「サーキット問題」があります。
これ、それぞれ一つ一つの動作は難しいものではありません。体を少し動かしていれば絶対にできることばかりです。つまり、大事なのはその通りにできるかという注意力です。
これはペーパーの「お話の記憶」問題と通じるものがあります。
結局のところ、5歳・6歳がやることに「難易度」はそこまで求められていません。プロ野球のトライアウトではないのです。先生の言うことを聞けるか、集中して見ていられるか、どちらかというと「精神」部分が見られていると感じています。
ですので、娘は最後まで鉄棒のぶら下がりが1分できるとか、超スピードでダッシュできるとか、そう言うことはできるようにはなりませんでした。
ですが、「見たものをその通りにやる」ための体力はついて、あとは集中力はペーパーなどを通して培ってきました。
そのため、無事合格できたのだと感じています。
詳しくは体操についてまとめた記事がありますので、そちらをご覧ください。
巧緻性の底上げのためにやったこと
巧緻性は学校によって傾向が違うので調べたほうがもちろん良いのですが、基礎的なスキルは共通しています。
リボン結びをするとか、エプロンを着れるとか、そういった「何をする」系の練習はただひたすらやればできる話です。
もう少し大事だと思うのは、「それを丁寧にできるか」です。
娘は練習すればリボンを結べるようになりました。それは当たり前のことです。
ただ、「バタバタと音を立てながら乱暴にやる」「足をぶらぶらさせる」「中心がずれていていびつ」「靴を揃えない」「終わったらキョロキョロする」など姿勢の問題が目立ちました。
そこを意識して練習させます。
- 「はじめ、と言われるまで手を膝に置いてください」
- 「ものを落としてしまったら、手を挙げてお母さんに教えてください」
- 「終わったら、手を膝に置いて静かに待っていてください」
- 「やめ、と言われたらすぐに止めて手をお膝に置いてください」
こういった指示を最初に出します。
ここに集中することができれば、あとは実際の「問題の中身」はさほど重要ではありません。
線に沿ってハサミを使って紙を切る、クリップなどで書類をまとめる、ものを道具箱にしまう、空き箱にリボンを結ぶ・・・など。
この辺りの「練習方法・問題」については別途記事を用意しておりますので、そちらを参考にしてください。
まとめ 足りないところは、家で補える
塾の良いところはやはり「親が楽」「満遍なくやってくれる」と言ったところでしょうか。
しかし、塾に任せっぱなしなのもよくないです。子供のレベルが高くて、塾に通っていれば万事オッケーと言うのであればそれで良いのですが、我が家の場合は娘の出来があまりにも悪く、塾に入れるレベルですらなかったのです。
ですが、繰り返しますが所詮は5歳・6歳の受験です。差はすぐに埋まります。
そして、その差を埋めるためには家庭学習で十分なのです。
子供のレベルが高くて塾に通えば勝手に伸びてくれる人もいるでしょう。そう言う人は週1回〜2回の塾通いで問題ないかもしれません。
ですが、大体の子は「ここが弱い」と言うものがあるはずです。それは塾で浮き彫りになるかもしれませんが、それを埋めてくれるのが塾というわけではありません。
「この子は図形が苦手」「この子は運動が苦手」となった場合でも、塾がかけられる時間は基本的にどの子に対しても(マンツーマンでない限りは)等しいです。
となると、塾では「苦手が埋まらない」まま進みます。
苦手を埋めてオールラウンドにしていかないと合格は遠ざかります。
ですが、苦手を埋めるのは家でできるのです。何時間も勉強する必要はありません。
「5時間勉強したけど落ちた」というのは申し訳ないですが何かを間違えています。志望校の選び方が違うのか、勉強のやり方が合っていないのか・・・とにかく何かを間違えていると思います。
我が家のやり方が絶対だというつもりはありません。
ですが、考えて見てください。5歳・6歳の子供が受ける試験なのです。文章が読めない子だっています。足し算ができない子だっています。
そんな子供たちが受ける試験なのです。そこまで難しいわけがありません。
縁故とか、面接の結果とか、そういう内容で左右されるところはもちろんあるでしょう。小学校受験は親の受験だと言われるには理由があります。
そのため尚更、子供のできるところは差がなくなるように埋めていくことを親がするべきなのです。
そしてその差を埋める活動は決して辛く難しいものではありません。これをやろう!と決めたら、あとは親が手伝ってあげるだけです。
子供はすぐに追いつきます。差が大きく見えても、すぐに埋まります。子供の集中力は短いため、毎日コツコツが大事です。ですが、毎日5時間なんて必要ありません。
ちょっとした意識の違いで、絶対的な結果の違いが出るということを理解してもらえたら幸いです。